クラウドファンディングのデメリット

クラウドファンディングにはデメリットもある

最近資金集めの方法として注目されているのがクラウドファンディングです。このクラウドファンディングは従来では考えられないような広範囲の人々から資金を募るという画期的な仕組みです。
たしかに非常に画期的で斬新なサービスではあるのですが、当然デメリットもあります。もちろんメリットの方が大きいのですが、デメリットをある程度把握しておかないと思いもよらないリスクを背負うことになってしまいます。
また出資者側もデメリットの部分があります。例えば出したお金が返ってこないリスク(相手が詐欺まがいの起案者ということもある)、一度出資してしまうとキャンセルができなくなるというものです。こういったデメリットはよほどのプロジェクトでないと出資は行わないという行動原則を立てることである程度自衛できます。
しかし出資者とは対極の立場、プロジェクトを発案して出資を募る起案者は特にリスクを抱え込みやすい傾向があります。起案者は資金力がない小規模な団体や企業、組織であったり、個人事業主や個人そのものと言ったような資金繰りにつまりやすい存在の場合が少なくありません。
そのため起死回生を狙った資金集めを行うことも少なくないため、最後の希望で行ったクラウドファンディングがそのまま致命的なリスクとなってしまうこともあるのです。
資金集めに大変有効でメリットも多いクラウドファンディングですが、そういったリスクに備えるためにもデメリットを知っておいてリスク回避を行う必要があるのです。
プロジェクトを成功させるためにも今回起案者側から見たクラウドファンディングのデメリットについてお金が集まらないリスク、リターンを用意する必要がある、そして資金調達までに時間がかかるという代表的なデメリットについてお話していきます。
クラウドファンディングの成功の一助になれば幸いです。

クラウドファンディングのデメリット1:お金が集まらないリスク

まず起案者側から見たクラウドファンディングのデメリットですが、お金が集まらないというリスクがあります。これはクラウドファンディングの運営するサイトにもよりますが、「ALL or Nothing」(達成支援型)という出資形態を行った場合によくあることです。
この出資形態は文字通り目標とする金額に届かなかった場合は起案者に一切の資金提供は行われず、全て出資者のもとに戻るという仕組みです。これにより時間や労力をかけて作り上げてきたクラウドファンディングのためのPRや計画が一気にとん挫してしまうというリスクがあります。
これではリスクが大きいことから日本でも有名なクラウドファンディングのCAMPFIREなどは「All-In」(即時支援型)という出資形態をとっているものもあります。これは目標額に達しなくとも集まった分だけ受け取ることができるという仕組みです。
確かに起案者のリスクが低減するものと言えるのですが、出資者からすれば確実に全額戻ってこないためリスクが増大します。そのため、出資を渋る傾向があるというデメリットもあります。
これにより従来のALL or Nothingより起案者側からすればリスクが下げられるのですが、今度は肝心の資金が集まりにくいという根本的なリスクが頭をもたげてきてしまうというデメリットが生じます。
つまり、多くの人にとって魅力あるプロジェクトでないと結局お金が集まらないというデメリットが起こってしまうのです。
広くプロジェクトの資金を募ることは魅力なのですが、多くの人から賛同を得られないと結局お金は集まらないのがクラウドファンディングのリスクでありデメリットと言えます。

クラウドファンディングのデメリット2:リターンを用意する必要

クラウドファンディングには非常に大きく分けて三つのタイプがあります。出資者を募り投資を行う投資型のクラウドファンディング、募金のような寄付を募る寄付型のクラウドファンディング、そして今回紹介する購入型です。
このほかにも融資型など様々なクラウドファンディングがありますが、ここでは購入型(一部寄付型)のデメリットに関する話題をお話しします。
この2つ目に紹介するデメリットはリターンの用意、つまり見返りを出資者に提供する必要がある事です。
クラウドファンディングは連帯保証人や担保を用意するといった従来の資金調達に必要なものはありません。その点が魅力でありメリットなのですが、逆にリターンを用意する必要があります。
多くはプロジェクトによって得られた産物を出資者に提供するというものです。例えば新製品のプロジェクトでクラウドファンディングを行った場合は、その新製品を出資金額に応じて出資者にリターンとして渡すということです。
そのためこういったプロジェクトに関するデメリットはプロジェクトによってその製品を必ず完成させる義務と完成後はそれに関連するもの、あるいはそれ自体を出資者に発送するという義務が生じるのです。
これは少数の人数に行うリターンとすればそれほど負担になるものではないのですが、少額の出資者がたくさんいる場合は、リターンの発送だけで忙殺され本来の業務や運営が圧迫されるリスクが生じます。かかるのは時間だけでなく出資者のリスト管理(流出管理)や発送のための輸送コストなど意外なコストがかかる場合があります。
さらに寄付型であってもそう言ったデメリットは付きまといます。寄付型は基本的に価値のある物品やサービスをリターンにしてはいけないという決まりがあります。なので一見販売型のようなデメリットはないように感じます。
しかし、リターンという形というよりも多くの場合プロジェクトの報告や礼状と言ったものを用意し出資者に発送しています。そのためそれらの用意で時間を取られるリスクがあります。さらに一部の出資者は寄付による節税を狙っている場合があります。
そういった出資者に対応するため自身が法律上節税の対象となる特定公益増進法人(公益法人や社会福祉法人、更生保護法人や学校法人など)や認定NPO法人であることを要求される場合もあります。また、そうでない場合は寄付を行っても節税効果がないことを説明する必要があります。
このようにリターンに関してはある程度のリスクとデメリットがあります。

クラウドファンディングのデメリット3:資金調達までに時間がかかる

クラウドファンディングのデメリットとして資金調達方法としては時間がかかる方法であるということです。銀行の融資やノンバンクのビジネスローンであれば審査から入金まで1か月程度で完結しますし、売掛金という代金を回収する権利を買い取ってもらうファクタリングという資金調達方法であればその半分以下の期間で入金されます。
しかしクラウドファンディングのデメリットとして挙げたこの時間はプロジェクトの発案から審査、公開、出資者を募るといったプロセスだけで期間がかかります。また、晴れて目標金額を達成しても資金回収のプロセスに時間がかかるためトータルで半年を有する場合があるのです。
そのため急場の資金調達方法としてはとても不向きですから、そういった用途での資金調達を考えている起案者にとっては思いもよらない大きなリスクとなり、デメリットになります。

クラウドファンディングのデメリットを克服するには

代表的と思われるデメリットを紹介しましたが、これらのデメリットを克服するためのいくつかのポイントを紹介していきます。まず出資形態をきちんと吟味することです。
「ALL or Nothing」(達成支援型)でも行けるプロジェクトなのか、自己資金の助けにするという意味で確実な資金調達が見込める「All-In」(即時支援型)にするのかと言ったものやリターンも無理のない範囲で行えるものを用意すること、また入金までに時間がかかるので、その間のつなぎの資金をあらかじめ検討しておくといった事前準備が必要です。
やや煩雑かもしれませんが、クラウドファンディングはそれに見合う魅力ある資金調達方法です。なので、まずは着手し検討してみても惜しくはないはずです。