クラウドファンディングの仕組み【徹底解説】

クラウドファンディングの【4つの仕組み】

自分のアイデアをプロジェクト化して資金調達を図るのが「クラウドファンディング」です。
クラウドファンディングでは、資金を調達したい起案者が、クラウドファンディング事業者のWEBサイトを利用して、ネット上で資金提供を呼びかけます。
そのプロジェクトに賛同した人達から、資金の提供を受けることが出来ます。

クラウドファンディングを大きく分けると、以下の4つのタイプに分かれます。

  • 寄付型:全額が寄付となるため、支援者にはリターンが無し。
  • 投資型:利益が出たら、配当を出資者に分配。
  • 融資型:集まった資金は、別の企業等へ融資される。
  • 購入型:支援に対して物品等を提供。

クラウドファンディングは、誰でも、起案者になれるという特徴があります。
ただし、クラウドファンディングを運営している事業者において、プロジェクトに対する審査が行われます。
その審査に通れば、個人や企業、団体を問わず、資金を募ることが出来る、という仕組みとなっています。

なお、支援者は、コメント欄などを通じて、起案者に対して質問ができるため、プロジェクトの趣旨や目的などを確認しながら、支援の可否を選択できます。

寄付型クラウドファンディングの仕組み

募集期間を定めるタイプや、毎月定期的に募集するタイプがあります。
「寄付」であるため、支援者には何のリターンもありません。
ただ、起案者も資金を貰いっ放しということはなく、活動状況を支援者に公開しています。

投資型クラウドファンディングの仕組み

起案者としては、提案したプロジェクトに、支援者から、投資してもらう形になります。
このため、プロジェクトから得た利益の一部を、支援者に対し、分配しなければなりません。
いわゆる株式投資に似たパターンになります。

出資を募るための条件として、以下の3点を提示しなければなりません。

  • 第二種金融商品取引業の登録
  • 事業計画書
  • 決算書

なお、投資である以上、支援者・出資者としても、プロジェクトの破綻などで出資金を消失することがあることは、覚悟しなければなりません。

融資型クラウドファンディング

別名「ソーシャルレンディング」とも呼ばれる仕組みです。
出資者が出資した資金は、融資型クラウドファンディング事業者を通して、第三者(企業等が多い)へと融資されます。
資金融資を受けた第三者が、クラウドファンディング事業者へと返済した、元金、及び、利息を原資に、クラウドファンディング事業者から出資者に対し、分配や、償還が行われる仕組みとなっています。

購入型クラウドファンディング

一番シンプルな形態のクラウドファンディングと言えます。
出資を受けた起案者は、プロジェクトに関わる商品やサービスを、支援者に提供します。
特に、この購入型クラウドファンディングの場合は、起案者が提案する商品やサービスが、そのまま、支援者に提供するため、両者の間で、緊密な繋がりができやすいことが、特長の一つといえます。

クラウドファンディングのフロー上の仕組み

クラウドファンディングの各ステップにおける仕組みは、以下の要領となります。

起案者の手続き

  1. クラウドファンディング事業者の、起案者向け申込用フォームに、起案内容(プロジェクト内容等)を記載します。
  2. クラウドファンディングの事業者の審査に合格後、事業者と話し合いながら、プロジェクトの正式な内容を作成します。
  3. )プロジェクトをWEBサイトに公開します(資金調達プロセスの開始)。
  4. 目標金額の達成、若しくは、募集期間満了で、募集が終了します。

事業者における審査

クラウドファンディングで資金を募るには、クラウドファンディング事業者の審査に通ることが前提です。
提案内容が稚拙だと、この審査を通過できません。
以下のような点が、審査時のポイントになります。

  • プロジェクトの内容で資金調達が可能か。
  • 犯罪など、社会的に問題が起きないか。
  • 調達資金が健全に使用されるか。
  • 事業者の運営方針に即したものか。

なお、事業者によって審査基準が異なるため、一つの事業者の審査に落ちたからといって、全ての事業者の審査に落ちるとは限りません。

支援者の手続き

支援者側の手続きとしては、主に下記のような仕組み・流れとなっています。

  1. クラウドファンディング事業者のWEBサイトでプロジェクトを閲覧します。
  2. 支援したいプロジェクトの詳細を確認します。
  3. 起案者に質問などをした後、支援の可否を判断します。
  4. 募集期間内にクラウドファンディングのWEBサイトで資金を決済します。
  5. 起案者が公開する活動報告等でプロジェクトの状況を確認します。
  6. リターンを受取ります。

クラウドファンディングにおける税金の仕組み

日本では収入を得ると、所得額に応じた税金を納めなくてはなりません。
クラウドファンディングでは、そのタイプによって、税金の対応が異なります。

寄付型クラウドファンディングの場合の税金

支援者側が個人か法人か、そして、支援額を受取る起案者側が、個人か法人か、の、合計4通りで、それぞれ、税金の仕組みが異なります。

起案者も支援者も、いずれも、個人

  • 起案者:受取った支援金に贈与税が課税(支援金総額が年間110万円までは基礎控除となり非課税)
  • 支援者:課税無し

支援者には、一切、納税の義務は発生しません。
しかし、支援を受ける側は、贈与を受けているとみなされ、一定条件の下で贈与税が課されます。
1年間の受取額を110万円以内にすれば、税金の発生はありません。

起案者は個人。支援者は法人

  • 起案者:一時所得として、所得税が課税
    (一時所得=支援金総額-かかった費用-特別控除50万円)
  • 支援者:限度額の範囲で、必要経費として算入可能

法人が個人に対して支援を行う場合、一定範囲までは寄附金を費用として計上できるため、法人税を減らせます。
支援を受ける個人としては、受けた支援額は、一時所得となり、所得税が課されます。

起案者・支援者、いずれも、法人

  • 起案者:支援金総額に対し、法人税が課税
  • 支援者:限度額の範囲で、必要経費として算入可能

起案者が法人。支援者が個人

  • 起案者:支援金総額に対し法人税が課税
  • 支援者:課税無し

個人の支援者には納税義務はありませんが、支援を受ける法人側では、受取った寄附金は受贈益として計上されます。
益金の一種として、法人税の課税対象となります。

投資型クラウドファンディングの場合の税金

  • 個人の起案者:利益に対して所得税が課税
  • 法人の起案者:利益に対して法人税が課税
  • 支援者:分配金利益に対し課税

出資された資金による活動の結果、「利益」が発生すれば、その利益に対して税金が課されます。
なお、クラウドファンディングで得られた資金に対して特定の税金が課されることはなく、年度末に他の利益や費用を合算して出た利益額が課税対象になります。

融資型クラウドファンディングの場合の税金

出資者(投資家)においては、受け取った分配金に対し、課税関係が発生します。

購入型クラウドファンディングの場合の税金

  • 個人の起案者:受けた出資に対して所得税が課税
  • 法人の起案者:受けた出資に対して法人税が課税
  • 支援者:出資額がリターン内容に比べて社会通念を超えて高額だった場合は贈与税が課税

購入型の場合は、お金と引換えに商品やサービスを提供することになり、通常の商売と同様の扱いになります。
なお、調達した資金とリターンの提供は消費税の対象になり、クラウドファンディング事業者が徴収します。